図面のスキャン・電子化と文書のスキャン・電子化の違い

図面のスキャン・電子化と文書のスキャン・電子化の違い

図面のスキャン・電子化と文書のスキャン・電子化は、どちらも「紙をスキャンしてデジタル化する」点では共通していますが、目的・扱う原稿の性質・必要な処理内容・保存方法などに大きな違いがあります。

今回は図面と文書それぞれのスキャン・電子化を行う際の注意点や手順についてご説明します。

1  図面の電子化と文書の電子化の違い(比較表)

項目図面の電子化文書の電子化
対象物建築図・構造図・配線図・機械図などの技術図面(A1やA0サイズなど大判)契約書・稟議書・議事録・帳票・個人情報を含む業務書類(A4が中心)
原稿サイズA1〜A0など大判サイズが多いA4〜A3が一般的
ファイル特性高解像度・正確な線描写が必要(拡大しても線が崩れない)OCRによる検索性が重視される(文字認識)
使用目的CAD化、技術設計の確認、再印刷、保全管理文書管理、検索・共有、法的保存対応(電子帳簿法など)
保存形式高品質PDF、TIFF(カラー)、CAD連携用ファイルテキスト付きPDF、OCR済みPDF、文書管理システム用形式
スキャン方式大判スキャナ(シートフィード式かフラットベッド式など)を使用ADFまたはフラットベッドスキャナで書類を一括処理
電子化処理の特徴傾き・縮尺補正、線の太さ調整、青焼き補正などが必要OCR処理、フォルダ振り分け、インデックス付与が重要
管理方法図面管理台帳、図番管理、設計年度や物件別分類文書管理ルール、保存期間管理、部門・カテゴリ別管理
活用シーン建築業・製造業・インフラ整備・保守管理業務など行政・法人・医療・教育・金融・士業など幅広く対応

 1.1 両者の違いを要約すると

 ● 図面の電子化

   1.1..1「図形情報の忠実な再現」が命。線、縮尺、レイヤー、印影などが非常に重要。

   1.1..2 建築基準法、製造者責任法、CAD連携や技術継承のために使われます。

 ● 文書の電子化

   1.1..1「文字情報の検索性・保存性」が命。OCR、インデックス、ファイル名管理が重要。

   1.1..2 電子帳簿保存法、DX推進、業務効率化のために使われます。

1.2 注意点

 ● 図面にも「文字」が含まれるためOCRしたいという要望もありますが、図面OCRは精度が低い  ため、文字検索性よりも図面番号や属性情報を台帳で管理することが一般的です。

図面や文書をスキャン・電子化する際の手順

【図面のスキャン・電子化 手順】

  1.  原図の確認:破損・折れ・図面製本の有無、サイズ(A1/A0)をチェック
  2.  図面の補修:破損や折れを補正、必要に応じて補修
  3.  スキャン機器の設定:大判スキャナ、解像度300dpi〜600dpi、カラー指定
  4.  スキャニング:原図を1枚ずつ丁寧にスキャン、図番ごとに命名
  5.  補正処理:傾き補正、濃度調整、地肌除去など画質調整
  6.  台帳登録:図面番号・図面名・作成年月などを記録
  7.  ファイル保存:PDF/TIFFで保存、バックアップ取得
  8.  原本管理:返却、保管、または溶解廃棄(記録必須)

文書のスキャン・電子化 手順

  1.  文書の仕分け:部門・文書種別・保存期限(必要に応じて処分)ごとに分類
  2.  クリーニング:ホチキス除去、折れ補正、破れ補修
  3.  スキャン設定:ADF対応スキャナ、解像度200〜300dpi、モノクロまたはグレースケール
  4.  スキャニング:連続処理、文書単位でPDF化
  5.  OCR処理:文字認識を実行し検索可能PDFを生成
  6.  ファイル命名・整理:命名ルールに基づきフォルダ構成とファイル名を統一
  7.  台帳・インデックス作成:文書名・作成年・保存期限等をExcel等で管理
  8.  原本処理:保存対象は保管、不要文書は溶解廃棄(記録必須)

3.  図面と文書のスキャン・電子化フロー比較

 図面スキャン・電子化フロー文書スキャン・電子化フロー
1原図確認文書仕分け
2補修作業前処理(ホチキス除去等)
3スキャンスキャン
4補正処理OCR
5命名・台帳登録命名・インデックス・台帳登録
6原図整理・返却・処分原稿整理・返却・処分

図面と文書にはそれぞれ役割があり、その役割に応じてスキャン・電子化する際にも作業内容や注意点が異なります。それぞれのスキャン・電子化後の利用目的に応じて適切な作業手順を選択する事が必要です。

図面や文書をスキャン・電子化する際に分からない事やお困りごとがあればお気軽にお問合せ下さい。

この記事の監修者

監修者 関谷の似顔絵

株式会社エビス
JIIMA 文書情報管理士1級関谷

1998年に入社後、コピー・データ入力などの業務を経て、CD/DVD製作に従事しています。その他、スキャン作業から版下作成など多岐に渡る業務の中で、電子化された文書管理について重要性を感じています。
また、お客様からお預かりしている電子メディアの保管管理について、文書情報管理士1級を取得したことで、知識を広げることができました。これからも、お客様へより良い提案ができるよう勉強を続けていきます。

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