図面のお勧め解像度

図面のお勧め解像度

図面をスキャン電子化する際に最も多いご質問のひとつが「解像度」です。

「解像度(DPI:dots per inch)」は、仕上がりの品質やファイルサイズに大きく関係します。解像度の数値が多くなればそれだけ詳細な画像を得ることが出来ますが、徒に解像度を上げてもファイルサイズが大きくなり、処理が重くなるばかりでその後の処理に大きな負担が掛かってしまう場合があります。

ここでは図面を電子化した後の用途別に注意点を解り易く解説いたします。

基本的な考え方

  • DPI(ドット・パー・インチ)とは、1インチ(約2.54cm)あたりにどれだけ細かく情報を読み取るかを表す数値です。
    数値が大きいほど細かくスキャンでき、図面の線や文字が鮮明になります。
    ただし、高くしすぎるとファイルサイズが非常に大きくなり、処理が重くなるというデメリットもあります。

用途別のおすすめ解像度

用途推奨DPI説明
閲覧・確認用(画面で見るだけ)150〜200 DPI文字や線が十分読める。ファイルサイズも軽い。PDF閲覧用に最適。
印刷・コピー用途300 DPIA3やA2などの図面を印刷しても線がきれいに再現される。最も一般的な設定。
CADトレースや図面修正用400〜600 DPICADに取り込みたい場合や線の精度が重要な場合。線が正確に読み取れる。
古い図面・細かい手書き線・劣化した原稿600 DPI以上細線や文字がつぶれやすいため、高解像度でスキャンして後で縮小するのが安全。

解像度設定の注意点

  1. 原稿サイズを考慮する
    o A0やA1など大きな図面を600DPIでスキャンすると、1枚で数百MB〜数GBにもなることがあります。
    o 必要に応じて解像度を下げるか、分割スキャン+後で結合を検討しましょう。
  2. カラーモードの影響
    o カラー:ファイルサイズが大きくなる(色のある図面やマーカー入り図面に適用)。
    o グレースケール:モノクロ線画でも階調が必要な場合に最適。
    o 白黒(2値):線画図面に最適。線がくっきり出るが、薄い線が欠けることもある。
  3. 最終的な用途を意識
    o 画面での閲覧・メール送付などは「軽さ」重視。
    o CAD変換・長期保存などは「精度」重視で解像度を高める。
  4. ファイル形式も合わせて選ぶ
    o PDF:閲覧・共有に便利。
    o TIFF:高解像度での保存・CAD連携にお勧め。
    o JPEG:軽いが圧縮により線がにじむ可能性あり。

初心者向けアドバイス

  • 不安な場合は、まず300DPIで試しスキャンし、画面で拡大して線の読み取り精度を確認。
    必要に応じて解像度を上げるのが最も効率的です。
  • 保存用と共有用で、2種類の解像度ファイルを使い分けるのもお勧めです。

「A1サイズの図面をCADトレース前提でスキャンする場合」

  • 原稿サイズ:A1(594mm × 841mm)
  • 用途:既存の紙図面をスキャン → CADでトレース or 修正
  • 目的:線や文字をできるだけ正確にデータ化したい
  • スキャナー:A0/A1対応の大型スキャナー(ロールタイプ)を使用

推奨スキャン設定

項目推奨値理由
解像度(DPI)400〜600 DPICADトレースに必要な線の精度を確保。300DPIだと細線や手書きの薄線が欠けることがある。
カラーモード2値モノクロ(またはグレースケール)モノクロ線図面なら2値、薄い鉛筆線や朱書きがある場合はグレースケールが安全。
スキャン形式TIFF(非圧縮またはLZW圧縮)精度を保ったままCADに読み込みやすい。JPEGは非推奨(線がにじむ)。
出力サイズ原稿サイズに合わせて「実寸(100%)」CAD上でスケールを正確に合わせるため。縮小・拡大スキャンはNG。
ファイル名PJ001_A1_Scan_600dpi_20251106.tifなどプロジェクト名・用紙サイズ・解像度・日付などを明記して整理しやすく。

スキャン作業時の注意点

  1. まず300DPIで試験スキャン
    o ファイルサイズや線の再現度を確認。
    o 物足りなければ400DPIまたは600DPIに上げる。
  2. 白黒線図面は2値スキャンで軽量化
    o 2値(モノクロ)にするとファイルが1/10程度になる。
    o ただし、鉛筆線や薄い破線が欠けることがあるため、原稿の状態を見て判断。
  3. 朱書きや手書き修正がある場合
    o カラーまたはグレースケールでスキャンし、後でPhotoshopなどで線分抽出処理を行う。
  4. スキャン後の確認
    o 1:1表示で線の太さ・寸法・読み取り漏れをチェック。
    o CADに取り込む前に画像の回転・傾き補正(deskew)を行う。
  5. 保存・バックアップ
    o 高解像度TIFFを原本保存用として保管。
    o 共有用にPDF(200〜300DPIにリサイズ)を別途作成すると便利。

CADトレース作業向けの作業フロー(例)

  1. A1図面を600DPIでグレースケールスキャン → TIFFで保存
  2. 画像編集ソフトで傾き補正・トリミング
  3. AutoCAD / Jw_cadにTIFFをアタッチ
  4. 線をトレースしてCAD化(ベクトルデータ化)
  5. トレース完了後、スキャン原本とCADデータをプロジェクトフォルダに一緒に保存

図面をスキャン電子化でお悩みの際にはお気軽にお問合せ下さい。

専門スタッフがご対応させて頂きます。

この記事の監修者

監修者 関谷の似顔絵

株式会社エビス
JIIMA 文書情報管理士1級関谷

1998年に入社後、コピー・データ入力などの業務を経て、CD/DVD製作に従事しています。その他、スキャン作業から版下作成など多岐に渡る業務の中で、電子化された文書管理について重要性を感じています。
また、お客様からお預かりしている電子メディアの保管管理について、文書情報管理士1級を取得したことで、知識を広げることができました。これからも、お客様へより良い提案ができるよう勉強を続けていきます。

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