企業や官公庁、自治体などでは、DX推進やペーパーレス化、保管スペースの削減を目的として、これまで蓄積してきた大量の紙資料を電子化する機会が増えています。
しかし、いざ電子化を始めようとすると、
「何十万枚もの資料をどうやって電子化すればよいのか」
「今年度の予算だけで全部終わらせられるのか」
「大量の資料を短期間で処理できる業者はあるのか」
といった問題に直面することがあります。
特に企業や官公庁では年度単位で予算を確保して事業を進めることが多いため、「電子化するなら今年度中に全部終わらせなければならない」と考えてしまいがちです。
しかし、大量の紙資料を電子化する場合、必ずしも短期間で終わらせることが最も安い方法とは限りません。
むしろ、物量に合わせて適切な期間を設定し、複数年度に分けて計画的に電子化することで、トータルコストを大きく抑えられる場合があります。

大量の電子化では「納期」がコストに大きく影響する
スキャンによる電子化は、一見すると「紙をスキャナーに通すだけ」のように思われるかもしれません。
しかし実際には、原稿の仕分け、ホチキスやクリップなどの除去、スキャン、画像確認、ファイル整理、ファイル名の付与、納品データの整理など、さまざまな工程があります。
特に大量の資料を扱う場合には、スキャナーだけを増やせば簡単に処理能力を上げられるわけではありません。
作業する人員、スキャナーなどの機材、作業スペース、データ処理環境などを確保する必要があります。
例えば、通常なら1年間かけて処理する物量を「半年で終わらせたい」「3か月で終わらせたい」となると、限られた期間に作業を集中させる必要があります。
その結果、
- 作業スタッフを増員する
- スキャナーや周辺機器を追加する
- 作業スペースを確保する
- 作業時間を増やす
- 複数の工程を同時並行で進める
といった対応が必要になり、結果として電子化単価が高くなることがあります。
つまり、電子化では「何枚あるか」だけではなく、「いつまでに終わらせるか」もコストを左右する重要な要素なのです。
「今年度予算ですべて電子化」が本当に最適なのか?
大量の紙資料を抱えている企業や官公庁では、数十万枚、場合によってはそれ以上の資料を保管しているケースもあります。
例えば30万枚の紙資料を電子化するとします。
これを1年間で処理する場合と、3年間で処理する場合では、必要となる作業量が大きく異なります。
1年間で30万枚を処理するのであれば、年間30万枚の処理能力が必要です。
一方、3年間に分ければ、単純計算では年間10万枚程度の処理で済みます。
もちろん実際の費用は、原稿の状態、サイズ、カラー・モノクロ、解像度、OCRの有無、ファイル形式、画像検査、データ整理などによって変わります。
それでも、納期に余裕を持たせることで、作業体制を無理なく組めるようになり、急激な人員・設備投入を避けられる可能性があります。
大量の電子化では、この「無理なく処理できる物量に分ける」という考え方が非常に重要です。
「短納期=高コスト」になりやすい理由
電子化業務には、作業できる人員と設備に限りがあります。
例えば、通常10名で処理している作業を、納期を半分にするために20名で行う必要があるとします。
単純に考えれば、作業期間が短くなって便利です。
しかし、作業する人員を増やせば、その分だけ人件費が増加します。
さらに、スキャナーなどの機材を増やす必要があれば、設備費や運用コストも発生します。
特に大量の資料では、単純なスキャン作業だけではなく、前処理や後処理、検品、データ整理などにも人員が必要です。
そのため、
「短期間で大量処理する」=「大量の人員・設備を短期間に集中投入する」
という構図になりやすいのです。
逆に、十分な期間を確保できれば、作業量を平準化できます。
これは電子化を依頼する側にとっても、受託する側にとっても大きなメリットになります。
多年度計画なら「優先順位」を付けられる
複数年度で電子化を計画するもう一つのメリットが、資料の優先順位を付けられることです。
例えば、
1年目
利用頻度が高い資料、劣化が進んでいる資料、保存スペースを圧迫している資料
2年目
利用頻度が中程度の資料、関連部署で共有したい資料
3年目
利用頻度が低い資料、長期保存を目的とする資料
というように、重要度や利用頻度に応じて電子化する資料を分けることができます。
実際、財務省でも過年度行政文書について、保存期間が長く利用頻度が高いものなど、電子化による業務効率化が期待される資料を優先して電子化計画を策定する考え方が示されています。
すべての資料を一度に電子化するのではなく、「何から電子化するべきか」を考えることも、電子化プロジェクトの重要なポイントです。
「数年かける」といっても、無制限に長くすれば良いわけではない
ここで注意したいのが、「電子化期間は長ければ長いほど良い」という意味ではないことです。
電子化を先送りすれば、その間は紙資料を保管し続けなければなりません。
保管スペースも必要ですし、必要な資料を探すための時間も発生します。
また、紙そのものが経年劣化する可能性もあります。
したがって、重要なのは単純に期間を長くすることではありません。
「必要な電子化量」と「適切な作業期間」のバランスを取ることです。
例えば数十万枚の資料であれば、1年間で無理に終わらせるのではなく、2~3年程度のスケジュールを組むことで、無理なく電子化を進められる可能性があります。
もちろん、具体的な最適期間は原稿の種類や数量、仕様、希望するデータ形式などによって異なります。
電子化は「物量×仕様×期間」で考える
大量の紙資料を電子化する際には、単純に「1枚いくら」という価格だけを見るのではなく、
物量 × 電子化仕様 × 作業期間
という3つの要素から考えることをおすすめします。
例えば同じ10万枚でも、
- A4モノクロ文書なのか
- A3以上の大判図面なのか
- 製本された資料なのか
- カラーなのか
- OCRが必要なのか
- 画像確認が必要なのか
- ファイルをどのように分類・整理するのか
によって必要な作業量は大きく変わります。
さらに「3か月で処理したい」のか「1年間で処理できればよい」のかによっても、必要な作業体制は変わります。
そのため、大量の電子化では**「何枚あるからいくら」だけではなく、「その物量をいつまでに、どのような仕様で電子化するのか」まで含めて見積もることが大切です。**
電子化業者には「希望納期」だけでなく「物量」も相談する
大量の紙資料を電子化する場合、最初から「○月までに全部お願いします」と納期だけを提示するのではなく、
「資料がこれだけあります」
「最終的にはすべて電子化したいです」
「ただし、コストはできるだけ抑えたいです」
といった条件を電子化業者に伝えてみることをおすすめします。
電子化を専門に行っている業者であれば、物量や原稿の状態を確認したうえで、現実的な作業期間や分割方法を提案できる場合があります。
当社の「図面スキャン電子化センター」でも、大判図面や製本図面をはじめ、企業・官公庁・自治体などが保有する大量の紙資料の電子化に対応しています。大量のデータを迅速にスキャンする体制も整えています。
また、電子化を外注する場合には、社内で行う場合とのコストや作業負担を比較しながら検討することも重要です。大量の紙資料では、スキャンそのものだけでなく、人員や保管場所などを含めたトータルコストで考える必要があります。
まとめ:大量の電子化は「早く終わらせる」より「適切な期間で終わらせる」
大量の紙資料を電子化するとき、「できるだけ早く終わらせたい」と考えるのは当然です。
しかし、電子化の作業期間を短くすればするほど、必要な人員や機材を短期間に集中させる必要があり、結果としてコストが高くなる場合があります。
だからこそ、数十万枚にも及ぶような大量の資料を電子化する場合には、
「今年度の予算で全部終わらせる」
という考え方だけではなく、
「組織全体として、何年かければ最も効率的・経済的に電子化できるか」
という視点を持つことが重要です。
例えば3年間の計画を立て、
1年目は重要度の高い資料
2年目は利用頻度の高い資料
3年目は残りの資料
というように段階的に電子化する方法も考えられます。
電子化は、単に紙をデータに変換するだけの作業ではありません。
大量の資料を「どのくらいの期間で、どのような仕様で、どの順番で電子化するか」を設計することそのものが、コスト削減につながります。
「大量の紙資料があるけれど、予算や納期をどう設定すればよいかわからない」という場合は、まず現在保有している資料の種類とおおよその物量を整理してみてください。
そのうえで、電子化業者に相談することで、単年度で一気に電子化するよりも、組織にとって無理のない、そして結果的にコストを抑えられる電子化計画を立てられる可能性があります。
大量の紙資料を抱えてお悩みの企業・官公庁・自治体のご担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。
「大量だからこそ、計画的に。」
それが、電子化を成功させるための大切なポイントです。

















