古い図面を整理していると、「赤字で修正されている」「現場で手書きの書き込みがある」「寸法や仕様が訂正されている」といった図面が見つかることがあります。
こうした図面を電子化する際には、単純にスキャンするだけでなく、書き込みや訂正部分をどのように残すかを考えることが重要です。
特に、手書きの情報が現在の設備状況や施工内容を示している場合、書き込み部分を見落としたり、薄くて判別できない状態で電子化したりすると、後から重要な情報が失われる可能性があります。
ここでは、書き込み・赤字・訂正がある図面を電子化するときのポイントを解説します。

書き込みや赤字も「図面の情報」として扱う
まず重要なのは、図面に書かれた情報を「不要な書き込み」と決めつけないことです。
例えば、
- 現場で追加された寸法
- 設備の変更内容
- 配管の変更
- 施工時の注意事項
- 工事担当者によるメモ
- 赤字による修正
- 承認・確認の記録
などが記載されている場合があります。
元の図面にはなかった情報でも、現在の建物や設備の状態を知るうえで重要な資料になっていることがあります。
そのため、電子化する場合は、原稿にある書き込みや訂正を基本的にそのまま残すことをおすすめします。
赤字と黒字を分けて保存する必要はある?
赤字で修正された図面の場合、「赤字部分を分かりやすく残したい」というケースがあります。
このような場合、カラーでスキャンすることで、元の図面と赤字の違いをそのまま確認できます。
一方、赤字と黒字の区別が必要ない用途であれば、グレースケールなど、別のスキャン方法が適している場合もあります。
例えば、
赤字による変更内容を確認したい
→ カラーでの電子化を検討
図面全体を閲覧できればよい
→ モノクロ・グレースケールも選択肢
というように、電子化後の利用目的によって仕様を決めることが大切です。
薄い赤字や手書き文字には注意する
手書きの書き込みは、元々の図面よりも薄い場合があります。
特に古い図面では、赤ペンの色が褪色していたり、筆圧が弱かったりすることで、スキャン後に文字が見えにくくなることがあります。
また、背景の汚れや紙の変色によって、書き込みが埋もれてしまうこともあります。
このような場合は、実際の原稿を確認してからスキャン条件を決めることが重要です。
必要に応じて明るさやコントラストなどを調整し、書き込みと背景をできるだけ区別できるようにします。
ただし、補正を強くしすぎると、手書き文字だけでなく細い線や記号まで消えてしまう可能性があります。
訂正前の情報も残すべき?
図面に訂正がある場合、「訂正後だけ電子化すればよい」とは限りません。
例えば、訂正前の図面と訂正後の図面が両方保管されている場合、それぞれが異なる時点の記録として意味を持つことがあります。
特に、
- 設計変更の履歴を残したい
- 過去の施工内容を確認したい
- 改修前の状態を記録しておきたい
- 変更の経緯を確認する必要がある
といった場合には、安易に古い図面を廃棄しないことが重要です。
電子化する対象を決める際には、「最新版だけを残すのか」「過去の図面も含めて保存するのか」を事前に確認しておきましょう。
書き込み部分だけを別データにする方法もある
図面によっては、原図と手書きの変更内容を分けて管理したい場合もあります。
例えば、
- 原図
- 赤字訂正版
- 現場での追記
- 完成後の最終図
などをそれぞれ別データとして保存する方法です。
ただし、どのように分けて保存するかは、図面の内容や利用方法によって異なります。
「原図と修正内容を比較したい」のか、「最終状態だけ確認できればよい」のかによって、適したデータの作り方も変わります。
OCRでは手書き文字を正確に読み取れないことも
書き込みの中に文字が含まれている場合、「OCRで文字検索できるようにしたい」と考えることもあります。
しかし、図面の手書き文字や記号は、一般的な文書と比べてOCRで認識しにくい場合があります。
特に、
- 手書き文字
- 数字
- アルファベット
- 図面記号
- 短い注記
などは、正しく認識されないことがあります。
そのため、OCRを利用する場合でも、元の画像をきちんと保存しておくことが重要です。
関連情報:紙の情報を“探せるデータ”に変える OCR処理の活用術
電子化前に「何を残すか」を決める
書き込みや訂正のある図面では、スキャン作業を始める前に保存方針を決めておくと安心です。
例えば、
- 書き込みを含めてそのまま電子化する
- 赤字を含めてカラーで保存する
- 訂正前・訂正後の両方を保存する
- 最新版だけを電子化する
- 手書き部分も検索対象にしたい
などです。
この方針が決まっていれば、必要なスキャン仕様やファイルの整理方法も検討しやすくなります。
まずはサンプル図面で確認する
大量の図面を電子化する場合は、いきなり全量を処理するのではなく、書き込みや赤字のある図面を数枚選び、サンプルとして確認する方法がおすすめです。
実際の電子データを見ながら、
「赤字が十分に見えるか」
「手書き文字が判別できるか」
「細い線が消えていないか」
「訂正箇所を確認できるか」
などをチェックします。
問題がなければ、その仕様を基準として残りの図面を電子化できます。
まとめ
書き込み・赤字・訂正のある図面を電子化するときは、単純に「きれいな画像にする」ことだけを考えるのではなく、原稿に記録されている情報をどう残すかが重要です。
特に注意したいポイントは、
- 書き込みや赤字も重要な情報として確認する
- 赤字を残したい場合はカラー化を検討する
- 薄い手書き文字はスキャン前に状態を確認する
- 訂正前・訂正後の図面を残すか判断する
- OCRだけに頼らず、元画像を保存する
- 電子化前に保存方針を決める
- 本番前にサンプルスキャンで確認する
といった点です。
古い図面では、手書きの赤字や現場での追記が、現在の設備状況を知るための重要な情報になっていることがあります。「元の図面にはないから不要」と判断せず、電子化後の利用目的を考えて保存方法を決めることが大切です。
図面電子化センターでは、赤字や手書きの書き込みがある図面、古く劣化した図面なども、原稿の状態を確認しながら適切な電子化方法をご提案します。
















