スキャンしたPDFから文字検索できるようにするには?OCRの仕組みと活用方法

紙の書類や報告書、図面などをスキャンしてPDFにしたものの、「ファイルを開かないと必要な情報が見つからない」「大量の資料から目的の文書を探すのに時間がかかる」といった悩みはありませんか?

このような課題を解決する方法のひとつが、OCR(光学文字認識)を利用して、スキャンしたPDFを文字検索できるようにすることです。

OCRを活用すれば、紙の文書を画像として保存するだけでなく、記載された文字を検索や情報活用に役立てられます。ここでは、OCRの仕組みや検索できるPDFの作り方、導入時の注意点について解説します。

1.スキャンしたPDFは、そのままでは文字検索できない?

紙の書類をスキャナーで読み取り、PDF形式で保存すると、パソコン上で文書を閲覧できるようになります。しかし、スキャンしたPDFの多くは、紙面を画像として保存したものです。

画面上では文字が読めても、コンピューターにとっては文字ではなく画像であるため、文書内の言葉を検索したり、文章をコピーしたりできない場合があります。

例えば、数千冊の報告書や過去の契約関連資料をPDF化しても、文字検索ができなければ、目的の情報を探すためにファイルを一つずつ開いて確認しなければなりません。

そこで役立つのがOCRです。OCRによって画像内の文字を認識し、検索に利用できるテキスト情報を付加することで、PDFの利便性を高められます。

2.OCRとは?文字を認識する仕組み

OCRは「Optical Character Recognition」の略称で、日本語では光学文字認識と呼ばれます。画像に写っている文字をコンピューターが読み取り、文字データに変換する技術です。

一般的なOCR処理は、次のような流れで行われます。

  1. 画像の読み込み: スキャンした文書の画像を取り込みます。
  2. 文字の検出: 画像の中から文字が書かれている領域を判別します。
  3. 文字の認識: 文字の形や周囲の情報などを基に、ひらがな、漢字、数字、記号などを推定します。
  4. テキスト情報の付加: 認識した文字をPDFに組み込み、検索などに利用できるようにします。

OCR処理を施したPDFでは、元の紙面画像を残したまま、その画像に対応するテキスト情報を持たせる方式が一般的です。この方式なら、元の書類の見た目を保ちながら文字検索を行えます。

ただし、OCRは文字を完全に読み取れるわけではありません。認識結果には誤りが含まれることがあるため、正確性が求められる用途では確認作業も重要です。

3.文字検索できるPDFを作成する方法

文字検索できるPDFを作成するには、主に次の方法があります。

方法1:OCR機能付きのスキャナーやソフトを使う

OCR機能に対応したスキャナーやPDF編集ソフトなどを利用し、スキャンと同時、またはスキャン後に文字認識処理を行う方法です。

少量の書類を電子化する場合や、社内で継続的に発生する書類を処理する場合に適しています。利用する機器やソフトによって、対応するファイル形式や認識できる文字、処理できる量が異なります。

方法2:既存のPDFにOCR処理を行う

すでに保存されているスキャンPDFに対して、後からOCR処理を行う方法です。

過去に画像として保存した資料を、文字検索できる状態にしたい場合に役立ちます。保管済みのPDFをまとめて処理できる製品やサービスもありますが、ファイル数やデータ容量、原稿の品質によって処理時間は変わります。

方法3:電子化業者にOCR処理まで依頼する

大量の紙文書を一括して電子化する場合は、スキャンだけでなくOCR処理まで専門業者に依頼する方法もあります。

数千冊に及ぶ報告書や帳票、長年保管してきた社内資料などでは、スキャン作業に加えて、ファイル名の付与、フォルダ分け、OCR処理、データの検品なども必要になります。社内の人員や設備だけで対応することが難しい場合は、電子化からデータ整理までを含めて検討するとよいでしょう。

4.OCRを活用するメリット

OCRによって文字検索が可能になると、電子化した資料の活用範囲が広がります。

必要な情報をすばやく探せる

文書内の文字を検索できれば、キーワードや文書番号、取引先名などを手掛かりに、目的の情報を探しやすくなります。大量の資料を目視で確認する手間を減らせるため、問い合わせ対応や社内調査の効率化につながります。

過去の資料を業務に活用できる

過去の報告書や調査資料、業務記録などから、特定の用語や数値を含む文書を探しやすくなります。紙の書類を保管するだけでなく、蓄積した情報を再利用するための基盤として活用できます。

文書管理システムと組み合わせられる

OCRで作成したテキスト情報は、文書管理システムや検索システムと組み合わせて利用できます。ただし、OCRを実施するだけで文書が自動的に分類・登録されるとは限りません。ファイル名や管理番号、作成日、文書種別などの情報を整理し、検索しやすい管理ルールを設けることが大切です。

5.OCRを利用する際の注意点

OCRの認識精度は、原稿の状態や文字の種類、スキャン条件などによって変わります。導入前に、次のポイントを確認しましょう。

原稿の状態によって認識精度が変わる

文字が薄い古い書類、汚れや折れのある紙、かすれた印字、低解像度の画像などは、正しく認識できないことがあります。手書き文字や特殊な記号、複雑な表組みについても注意が必要です。

図面や帳票は特有の難しさがある

図面には、寸法値、記号、英数字、細い線、注記などが混在しています。帳票では、記入欄やチェック欄、手書き文字などが認識を難しくする場合があります。

そのため、図面や帳票のOCRでは、一般的な文章と同じ精度を期待できるとは限りません。検索したい情報や文字の種類を事前に整理し、実際の原稿を使って認識結果を確認することが重要です。

OCRの結果をすべて正しいと考えない

OCRは文字を推定する技術であり、認識結果が原本と一致することを保証するものではありません。契約内容、金額、管理番号、図面の寸法など、誤りが業務に影響する情報については、必要に応じて原本との照合や目視確認を行いましょう。

スキャン仕様を用途に合わせる

OCRの精度を高めるには、適切な解像度や画像品質を確保することも大切です。ただし、解像度を上げれば必ず認識精度が向上するわけではありません。ファイル容量や処理時間とのバランスを考え、対象文書に合った仕様を選びましょう。

関連情報:図面・文書の「電子化の仕様」とは?用途に合わせた解像度・カラー設定の選び方

6.大量の文書をOCR付きPDFにする際のポイント

企業や官公庁で大量の資料を電子化する場合は、単にOCRを実施するだけでなく、電子化後の検索や管理まで見据えた計画が必要です。

まず、どのような情報を検索したいのかを明確にします。文書本文のキーワード検索が目的なのか、管理番号や作成日などの属性情報で探したいのかによって、必要な作業が異なります。

次に、対象資料の種類や状態を確認し、OCRの適用範囲を決めます。すべての資料に同じ処理を行うのではなく、文字検索が必要な資料を優先する方法も考えられます。

さらに、ファイル名やフォルダ構成、管理番号などのルールを決めておくと、OCRによる本文検索と組み合わせて、より効率的に資料を探せるようになります。個人情報や機密情報を含む資料では、アクセス権限やデータの受け渡し方法、保管・削除のルールも確認しておきましょう。

関連情報:大量の紙資料を電子化するなら「短期間」より「適切なスケジュール」がコスト削減の鍵

まとめ:OCRを活用して電子化した文書を使いやすく

スキャンしたPDFにOCR処理を行うと、画像として保存されていた紙文書を文字検索に活用できるようになります。必要な情報を探す時間を短縮し、過去の資料を業務に役立てるうえで有効な方法です。

一方、OCRの認識精度は原稿の状態や文字の種類によって異なります。電子化の目的を明確にし、対象資料に適したスキャン仕様や検品方法、データ管理ルールを決めることが重要です。

図面スキャン電子化センターでは、図面をはじめ、企業や官公庁で保管されている大量の紙文書・資料の電子化についてご相談を承っています。 スキャンだけでなく、OCR処理や電子化後のデータ管理も含めて、資料の種類や活用目的に合わせた方法をご提案いたします。

この記事の監修者

監修者 羽鳥 悠介の似顔絵

株式会社エビス
JIIMA 文書情報管理士1級羽鳥 悠介

株式会社エビスに入社し、6年間業務作業に携わっております。文書情報管理士1級の資格を持ち、その知識やこれまでの経験を元にお客様に寄り添ったサービスを心がけています。

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