建物や設備の図面を電子化する際、「竣工図と施工図をどう分ければよいのか分からない」というケースがあります。
どちらも工事に関する重要な図面ですが、作成される目的や記載されている情報には違いがあります。特に、長年保管されている図面では、竣工図と施工図が混在していることもあります。
ここでは、竣工図と施工図の違いと、電子化する前に整理しておきたいポイントについて解説します。

竣工図とは?
竣工図とは、工事が完了した時点の建物や設備の状態を記録した図面です。
工事中に設計変更や現場での変更があった場合、それらを反映して作成されるため、完成後の建物・設備を確認するための資料として利用されます。
例えば、
- 建物の平面図・立面図
- 電気設備図
- 空調設備図
- 給排水設備図
- 配管図
- 各種設備の配置図
などがあります。
竣工後の改修工事や設備更新、故障対応などでは、現在の状態を確認するための重要な資料になります。
施工図とは?
施工図は、実際の工事を行うために作成される図面です。
設計図をもとに、施工に必要な具体的な寸法や納まり、材料、設備の位置などを詳細に示します。
例えば、
- 詳細な寸法
- 部材の納まり
- 配管・配線の位置
- 設備機器の取り付け方法
- 建具や金物の詳細
など、現場で施工するための情報が記載されています。
つまり、簡単にいうと、
竣工図=完成した建物・設備の状態を記録する図面
施工図=実際に工事を行うための詳細な図面
という違いがあります。
どちらも電子化したほうがよいの?
電子化の対象を決める際、「竣工図だけ残せばよいのでは?」と考えることがあります。
しかし、施工図にも重要な情報が含まれている場合があります。
例えば、将来の改修工事で細かな納まりを確認したい場合、竣工図だけでは十分な情報が得られないことがあります。
そのため、施工図についても、
- 将来参照する可能性があるか
- 現在の建物・設備に関係するか
- 他の資料では確認できない情報があるか
などを確認したうえで、電子化するか判断するとよいでしょう。
電子化前に竣工図と施工図を分ける
両方の図面を電子化する場合は、まず種類を分けておくと管理しやすくなります。
例えば、
本社ビル
- 竣工図
- 建築
- 電気
- 空調
- 衛生
- 施工図
- 建築
- 電気
- 設備
というように分類します。
電子化後も同じ分類を維持すれば、必要な図面を探しやすくなります。
工事名称や施工時期も整理する
過去の施工図が複数の工事にまたがっている場合は、工事名称や施工時期も整理しておきましょう。
例えば、
- 本社新築工事
- 2018年空調改修工事
- 2021年電気設備更新工事
- 2024年レイアウト変更工事
といった単位で分類します。
同じ「電気設備図」でも、工事時期が違えば内容も異なる可能性があります。
図面の種類だけでなく、「いつ、どの工事で作成された図面なのか」を残すことがポイントです。
竣工図と施工図の内容が一致するとは限らない
注意したいのが、施工図と竣工図の内容が完全に一致するとは限らないことです。
施工中に変更があった場合、その変更が最終的な竣工図に反映されていることもあれば、すべてが反映されていないケースもあります。
そのため、両方の図面が残っている場合は、どちらか一方を単純に「古い図面」として廃棄するのではなく、それぞれの役割を考えて整理することが重要です。
ファイル名にも違いを反映する
電子化後に図面を探しやすくするため、ファイル名にも情報を含める方法があります。
例えば、
A-001_竣工図_1階平面図.pdf
A-002_施工図_1階平面詳細図.pdf
のようにします。
さらに工事名称や作成年月を加える場合は、
A-002_施工図_本社新築工事_1階平面詳細図.pdf
といった形式も考えられます。
ただし、ファイル名を長くしすぎると管理しにくくなるため、社内で一定のルールを決めることが大切です。
図面一覧を作っておく
大量の図面を電子化する場合は、電子化前に図面一覧を作成しておくと便利です。
例えば、
| 管理番号 | 区分 | 工事名称 | 図面名称 | 作成年月 |
| A-001 | 竣工図 | 本社新築 | 1階平面図 | 2020年 |
| A-002 | 施工図 | 本社新築 | 1階平面詳細図 | 2019年 |
| E-001 | 竣工図 | 本社新築 | 電気設備図 | 2020年 |
| E-002 | 施工図 | 電気改修 | 配線図 | 2023年 |
このようにしておけば、電子化前の原稿と納品データを照合しやすくなります。
「どちらを残すか」ではなく「どう使うか」で判断する
図面を整理するとき、「竣工図と施工図のどちらを残すべきか」と考えがちです。
しかし、重要なのはその図面を今後どのように利用するかです。
現在の建物・設備の状態を確認することが目的なら竣工図が重要になります。一方、将来の改修工事で細かな施工方法や納まりを確認する場合には、施工図が役立つことがあります。
そのため、電子化前に現場担当者や設備管理担当者などに確認し、必要な図面を判断することをおすすめします。
まとめ
竣工図と施工図は、どちらも建物や設備を管理するうえで重要な図面ですが、役割が異なります。
竣工図は完成時の状態を記録する図面、施工図は工事を行うための詳細な図面と考えると分かりやすいでしょう。
電子化する際には、
- 竣工図と施工図を分類する
- 建築・電気・設備などの種類を整理する
- 工事名称や施工時期を記録する
- 図面番号や管理番号を確認する
- 電子化後のフォルダ・ファイル名を決める
- 図面一覧を作成する
- 将来の利用目的を考えて保存対象を決める
といった準備が重要です。
特に長年保管されている図面では、竣工図と施工図が混在していることもあります。電子化を単なるスキャン作業と考えず、将来必要な図面を探しやすくするための整理作業として進めることが、電子化後の活用につながります。
図面電子化センターでは、A0・A1・A2などの大判図面をはじめ、青焼き・白焼き・マイラー・製本図面など、さまざまな図面の電子化に対応しています。竣工図や施工図など複数種類の図面をまとめて電子化する場合も、原稿の状態や利用目的に合わせた整理・データ化について最適なプランをご提案いたします。
















