設計事務所の図面電子化|過去案件の図面を資産として活用する方法

設計事務所では、建築物の設計・監理を行う中で、膨大な量の図面や関連資料が蓄積されていきます。

竣工から何年も経過した案件の図面が、将来の改修設計や類似案件の検討に役立つこともあります。しかし、過去の図面が紙のまま保管されていると、必要な案件を探すだけでも時間がかかります。

そこで有効なのが、過去案件の図面を電子化し、検索・参照しやすい状態で保存することです。

過去案件の図面は設計事務所の資産

設計事務所にとって、過去に作成した図面は単なる保管資料ではありません。

例えば、過去の案件から、

  • 建物の用途や規模
  • 過去に採用した設計手法
  • 設備や納まりの事例
  • 類似案件の平面計画
  • 改修前後の設計内容

などを確認できる場合があります。

新しい案件で似た条件の建物を設計するとき、過去の図面を参考資料として活用できれば、設計検討の効率化にもつながります。

関連情報:建築図面の製本をスキャンする方法

1.必要な過去案件を探しやすくする

紙図面の場合、案件名や図面の種類を手掛かりに、書庫やキャビネットから図面を探す必要があります。

案件数が増えるほど、目的の図面を見つける作業も大変になります。

図面を電子化して、

案件名 → 建物用途 → 図面種類 → 作成年

などのルールで整理しておけば、必要な資料をパソコンから探しやすくなります。

例えば「過去の店舗案件の平面図を確認したい」といった場合にも、対象となる案件を絞り込みやすくなります。

2.類似案件の設計検討に活用する

過去案件の図面は、新しい設計案件の参考資料としても利用できます。

例えば、同じ用途の建物を設計する場合、過去の平面図や断面図などを確認することで、以前の設計内容を振り返ることができます。

もちろん、過去の設計をそのまま流用するのではなく、現在の法令や施主の要望、建物条件などを踏まえて検討する必要があります。

それでも、過去の設計事例をすぐに参照できることは、設計業務における重要な情報資産になります。

3.改修・リニューアル案件にも役立つ

設計事務所では、新築だけでなく、既存建物の改修やリニューアルを担当することもあります。

その際、建築当初の図面や過去の改修図面が残っていれば、既存建物の状態を把握するための資料として利用できます。

特に長期間使用されている建物では、改修を繰り返した結果、現在の状態と竣工時の図面が異なっていることがあります。

そのため、

  • 竣工時の図面
  • 過去の改修図面
  • 設備更新時の図面
  • 現在の図面

を時系列で管理しておくと、建物の変化を確認しやすくなります。

4.担当者が変わっても案件情報を引き継げる

設計事務所では、担当者の異動や退職などによって、過去案件の担当者がいなくなることがあります。

紙図面が担当者の机や個人の保管場所に残っていると、担当者が変わった際に資料の所在が分からなくなる可能性があります。

案件ごとに図面を電子化して整理しておけば、担当者個人ではなく、事務所全体の共有資産として過去の設計情報を管理しやすくなります。

これは、設計ノウハウや案件情報の属人化を防ぐうえでも重要です。

5.図面だけでなく案件情報も整理する

図面を電子化するときは、単純にPDFファイルを作成するだけでなく、案件に関する情報も整理しておくと便利です。

例えば、

  • 案件名
  • 建物用途
  • 所在地
  • 設計年度
  • 竣工年度
  • 図面種類
  • 図面番号
  • 担当者
  • 改修履歴

などです。

こうした情報を図面一覧や管理台帳にまとめておけば、「どの案件にどの図面があるのか」を把握しやすくなります。

6.紙図面の劣化や紛失に備える

長期間保管している紙図面は、折れ、汚れ、破れなどによって劣化することがあります。

また、案件ごとの資料が複数の場所に保管されている場合、必要な図面が見つからなくなる可能性もあります。

重要な過去案件を電子化しておけば、紙原稿を取り出さなくても図面を確認できるため、原稿の取り扱いを減らすことができます。

ただし、電子化したからといって原本が必ず不要になるわけではありません。契約や社内規程などを確認し、原本を保存する必要がある資料については適切に保管することが大切です。

電子化前に案件ごとに整理する

大量の図面を電子化する場合、最初からスキャンを始めるのではなく、案件単位で整理することをおすすめします。

例えば、

○○ビル新築工事

  • 建築
  • 構造
  • 電気
  • 空調
  • 給排水
  • 詳細図
  • 竣工図

といった形です。

さらに、案件ごとに図面番号や図面名称を確認しておけば、電子化後のファイル管理もスムーズになります。

図面番号が統一されていない場合でも、既存の番号を活用しながら必要な管理番号を設定する方法があります。

大判図面や古い図面は適切な方法で電子化する

設計事務所では、A0・A1・A2などの大判図面をはじめ、青焼き、白焼き、マイラー、トレーシングペーパーなど、さまざまな原稿を扱います。

また、古い案件では製本された図面や手書き図面が残っていることもあります。

こうした図面は、原稿の大きさや状態に合わせてスキャン方法を選ぶ必要があります。

特に設計図面では、細かな文字や寸法、記号などを確認する必要があるため、電子化後にどのように利用するのかを考えて仕様を決めることが重要です。

関連情報:劣化した大判図面の電子化にはフラットベッドスキャナがおすすめな理由

電子化した図面を「設計資産」として蓄積する

過去案件を電子化する最大のメリットは、単に紙の保管場所を減らすことではありません。

案件ごとの図面を整理して蓄積することで、事務所に残る設計情報を将来の業務に活用できるようになります。

例えば、

過去案件 → 設計検討 → 新規案件 → 改修案件 → 次の設計案件

という形で、過去の経験を次の仕事に活かせます。

また、新しい担当者が過去案件を参照することで、事務所内の設計ノウハウを共有するきっかけにもなります。

まとめ

設計事務所にとって、過去案件の図面は将来の設計や改修工事にも活用できる重要な情報資産です。

電子化することで、

  • 過去案件を探しやすくなる
  • 類似案件の設計検討に活用できる
  • 改修・リニューアル案件の参考資料になる
  • 担当者変更時の引き継ぎに役立つ
  • 紙図面の劣化や紛失に備えられる
  • 設計情報を事務所全体で共有しやすくなる

といったメリットがあります。

電子化する際は、案件ごとに図面を整理し、建物用途・設計年度・図面種類・図面番号などの情報も合わせて管理することがポイントです。

過去案件の図面を「保管しておく資料」から「必要なときに活用できる設計資産」へ変えることで、これまで蓄積してきた設計情報を将来の業務にも活かしやすくなります。

図面電子化センターでは、A0・A1・A2などの大判図面をはじめ、青焼き・白焼き・マイラー・トレーシングペーパー・製本図面など、さまざまな原稿の電子化に対応しています。設計事務所に蓄積された大量の過去案件についても、原稿の状態や電子化後の利用目的に合わせた図面データ化をご提案いたします。

この記事の監修者

監修者 関谷の似顔絵

株式会社エビス
JIIMA 文書情報管理士1級関谷

1998年に入社後、コピー・データ入力などの業務を経て、CD/DVD製作に従事しています。その他、スキャン作業から版下作成など多岐に渡る業務の中で、電子化された文書管理について重要性を感じています。
また、お客様からお預かりしている電子メディアの保管管理について、文書情報管理士1級を取得したことで、知識を広げることができました。これからも、お客様へより良い提案ができるよう勉強を続けていきます。

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