不動産管理会社では、オフィスビルやマンション、商業施設、倉庫など、複数の建物の図面を管理することがあります。
建物が増えるほど図面の枚数も増え、竣工図や設備図、改修工事図面などがそれぞれ異なる場所に保管されているケースもあります。
「必要な図面がすぐに見つからない」「担当者によって保管場所が違う」といった問題を解決する方法の一つが、図面を電子化して建物ごとに整理することです。
ここでは、不動産管理会社が図面を電子化するときの整理方法と、電子化後の管理ポイントについて解説します。

建物ごとに図面をまとめる
複数の物件を管理している場合、まず重要なのが建物単位で図面を整理することです。
例えば、
Aビル
- 建築図面
- 電気設備図面
- 空調設備図面
- 給排水設備図面
- 消防設備図面
- 改修工事図面
Bマンション
- 建築図面
- 設備図面
- 電気図面
- 外構図面
- 改修工事図面
というように分類します。
建物ごとにまとめておけば、「どの物件の図面なのか」が明確になり、管理物件が増えた場合にも整理しやすくなります。
竣工図と改修図面を区別する
不動産管理では、竣工時の図面だけでなく、その後に行われた改修工事の図面も重要です。
例えば、
- 竣工図
- 空調設備更新
- 電気設備改修
- テナント内装工事
- 給排水設備改修
- 外壁・屋上改修
などの図面があります。
これらを一つのフォルダにまとめてしまうと、現在の状態を確認するときに分かりにくくなることがあります。
「竣工時」「改修工事」「設備更新」など、工事の時期や内容が分かるように分類することがポイントです。
設備の種類でも分類する
建物ごとにまとめたうえで、さらに図面の種類を分類すると、必要な図面を探しやすくなります。
代表的な分類は、
- 建築
- 構造
- 電気
- 空調
- 給排水・衛生
- 消防
- 昇降機
- 外構
- 改修工事
などです。
物件によって図面の種類が異なる場合でも、基本的な分類ルールを決めておけば、管理担当者が変わっても同じ方法で図面を探せます。
紙図面を電子化するメリット
紙図面の場合、物件ごとにファイルや図面筒などで保管していると、必要な資料を探すために保管場所まで行く必要があります。
また、管理物件が増えると保管スペースも必要になります。
図面をPDFなどに電子化しておけば、パソコンから必要な図面を確認できるようになります。
例えば、管理会社の担当者が「Aビルの空調設備図を確認したい」と思ったとき、建物名や設備名などから目的のデータを探せます。
複数の物件を管理する会社ほど、図面を電子化することで検索や共有の効率化を図りやすくなります。
改修工事や設備トラブルにも活用できる
図面データは、日常の設備管理だけでなく、修繕や改修工事の際にも活用できます。
例えば設備トラブルが発生した場合、関連する配管図や電気設備図を確認することで、設備の位置や系統を把握する手掛かりになります。
また、改修工事を計画するときには、過去の工事図面と現在の図面を比較することで、これまでの変更内容を確認できます。
ただし、過去の図面が現在の状態と完全に一致するとは限りません。図面を参考資料として利用しながら、必要に応じて現地確認を行うことが大切です。
図面のファイル名を統一する
電子化後の図面を探しやすくするには、ファイル名のルールも重要です。
例えば、
Aビル_電気_1階平面図.pdf
Aビル_空調_機器配置図.pdf
Aビル_2024年改修_空調設備図.pdf
といった形式です。
管理番号がある場合は、それもファイル名に含めるとよいでしょう。
ただし、物件によってバラバラのルールにすると管理しにくいため、会社全体で一定のルールを決めておくことをおすすめします。
図面一覧を作成する
大量の図面を電子化する場合は、図面そのものだけでなく、図面一覧を作っておくと便利です。
例えば、
| 建物 | 図面種類 | 図面名称 | 工事年月 | 管理番号 |
| Aビル | 建築 | 各階平面図 | 2010年 | A-A01 |
| Aビル | 電気 | 電気設備図 | 2010年 | A-E01 |
| Aビル | 空調 | 空調設備図 | 2024年 | A-M01 |
| Bマンション | 給排水 | 配管図 | 2018年 | B-W01 |
のように管理します。
図面一覧があれば、電子化したデータの内容を確認しやすくなり、原稿のスキャン漏れをチェックする際にも役立ちます。
古い図面を廃棄する前に確認する
電子化を機に「紙図面をすべて廃棄したい」と考える場合もあります。
しかし、古い図面が将来不要とは限りません。
例えば、改修前の状態を確認したり、過去の工事内容を調べたりする際に役立つことがあります。
また、契約書や法令、社内規程などによって原本の保存が必要となる場合もあります。
そのため、紙原稿を廃棄するかどうかは、管理会社だけで判断せず、建物所有者や関係部署などにも確認したうえで決めることが重要です。
電子化後のデータ管理にも注意する
不動産管理会社が扱う図面には、建物の設備情報やテナントに関する情報など、取り扱いに注意が必要な資料が含まれる場合があります。
そのため、電子化した後は、
- 誰がデータを閲覧できるか
- 外部への共有方法
- データのバックアップ
- 現行図面と過去図面の区別
- 図面を更新した際の管理方法
などを決めておくことが大切です。
特に複数の担当者が図面を利用する場合は、個人のパソコンだけに保存するのではなく、社内でルールを決めて管理できる環境を整えるとよいでしょう。
原稿の状態に合わせて電子化する
不動産管理会社が保管している図面には、さまざまな状態のものがあります。
例えば、
- A0・A1・A2などの大判図面
- 青焼き・白焼き
- マイラー
- トレーシングペーパー
- 折りたたまれた図面
- 製本された図面
- 手書きの改修図面
などです。
特に古い図面や製本図面は、一般的なコピー機では対応できない場合があります。
そのため、電子化する際には図面のサイズだけでなく、紙の種類や状態、折れ・破れ、製本の有無なども考慮してスキャン方法を選ぶことが重要です。
まとめ
不動産管理会社が多くの建物を管理する場合、図面を「建物ごと」に整理して電子化することで、必要な情報を探しやすくなります。
電子化する際は、
- 建物・物件ごとに図面を分類する
- 建築・電気・設備など種類ごとに整理する
- 竣工図と改修図面を区別する
- 工事年月や管理番号を記録する
- ファイル名のルールを統一する
- 図面一覧を作成する
- 電子化後のアクセス権限やバックアップを決める
といったポイントを押さえましょう。
図面電子化の目的は、紙をPDFに変換することだけではありません。複数の建物に分散している図面を整理し、必要なときに必要な情報をすぐに利用できる状態にすることが重要です。
不動産管理会社では、物件が増えるほど図面管理の負担も大きくなります。将来の改修工事や設備更新、担当者間の情報共有まで考えて、早めに図面を整理・電子化しておくことをおすすめします。
図面電子化センターでは、A0・A1・A2などの大判図面をはじめ、青焼き・白焼き・マイラー・製本図面など、さまざまな原稿の電子化に対応しています。複数物件の図面をまとめて電子化する場合も、建物ごとの整理や電子化後のデータ管理を考慮した方法をご提案いたします。
















