大量の紙図面を保管している企業では、「図面を置いておくための費用」が意外と大きくなっていることがあります。
倉庫や書庫の賃料だけでなく、キャビネットや収納用品、図面を整理・検索するための担当者の作業時間なども、紙図面の保管にかかるコストです。
図面の電子化を検討する際には、スキャン費用だけを見るのではなく、現在の紙図面の保管に年間どのくらいのコストがかかっているのかを把握しておくと、電子化の効果を判断しやすくなります。
ここでは、紙図面の保管コストを計算する方法を紹介します。

紙図面の保管コストは「場所代」だけではない
紙図面の保管コストというと、倉庫や書庫の賃料を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には、それ以外にもさまざまな費用や作業が発生しています。
例えば、
- 倉庫・書庫の賃料
- キャビネットやラックの購入費
- ファイル・収納用品の費用
- 図面を整理する作業時間
- 必要な図面を探す時間
- 図面を取り出したり戻したりする時間
- 保管場所を維持・管理するための作業
などです。
つまり、「図面を置いている場所」だけでなく、「図面を管理するために使っている時間」もコストとして考えることがポイントです。
1.倉庫・書庫のコストを計算する
まずは、図面を保管している場所のコストを確認します。
専用の倉庫を借りている場合は、年間賃料をそのまま保管コストとして考えられます。
一方、社内の書庫や倉庫を利用している場合は、そのスペースがどの程度の面積を占めているかを確認します。
例えば、月額の賃料を1㎡あたりで算出できる場合、
図面保管に使用している面積 × 1㎡あたりの月額コスト × 12か月
で、おおよその年間コストを算出できます。
図面だけでなく他の資料も保管している場合は、図面が占める割合に応じて計算するとよいでしょう。
2.キャビネットやラックの費用も考える
図面を保管するためには、キャビネットやラックなどの収納設備が必要です。
また、ファイル、ボックス、保管ケースなどを定期的に購入している場合は、それらの費用も積み上げてみましょう。
例えば、
収納設備の購入費+年間のファイル・収納用品費
として整理します。
収納設備は一度購入すれば何年も使用するため、年間コストを考える場合は、使用年数をもとに按分して考える方法もあります。
3.図面を管理する「人の時間」を計算する
見落としやすいのが、図面を管理する担当者の作業時間です。
例えば、
- 新しい図面を整理する
- 図面を所定の場所へ戻す
- 古い図面を整理する
- 必要な図面を探す
- 他部署からの依頼に対応する
といった作業があります。
仮に図面の検索や整理に月10時間かかっているとします。
担当者の人件費を1時間3,000円とすると、
10時間 × 3,000円 × 12か月 = 年間36万円
となります。
実際の人件費や作業時間を当てはめれば、自社における管理工数を金額として把握できます。
4.「図面を探す時間」も積み上げる
図面の保管コストを考える際には、単純な整理作業だけでなく、必要な図面を探す時間も確認してみましょう。
例えば、1回の検索に15分かかり、それが月20回発生している場合、
15分 × 20回 = 月5時間
です。
年間では60時間になります。
さらに複数の担当者が図面を探している場合、その人数分の時間が発生します。
「1回あたりでは大した時間ではない」と思っていても、年間で集計すると意外に大きな数字になることがあります。
5.年間コストを一覧にする
ここまでの費用を一覧にすると、紙図面の保管にかかっているコストが見えやすくなります。
例えば、
| 項目 | 年間コスト |
| 倉庫・書庫のスペース | ○○円 |
| キャビネット・収納用品 | ○○円 |
| 図面の整理・管理工数 | ○○円 |
| 図面の検索時間 | ○○円 |
| その他の管理費 | ○○円 |
| 合計 | ○○円 |
このように整理しておくと、「紙図面を保管し続ける場合」と「電子化する場合」を比較しやすくなります。
電子化するとすべての保管費がゼロになるわけではない
注意したいのは、図面を電子化したからといって、保管にかかる費用がすべてなくなるわけではないことです。
電子データを保存するためには、
- サーバー
- クラウドストレージ
- バックアップ
- データ管理
- セキュリティ対策
などが必要になる場合があります。
そのため、
現在の紙図面の年間保管コスト
と
電子化後のデータ管理コスト
を比較することが重要です。
また、原本をすべて廃棄するのではなく、重要な図面だけ紙で残すという方法もあります。
すべての図面を一度に電子化しなくてもよい
保管コストを計算した結果、電子化のメリットが大きいことが分かっても、予算やスケジュールの関係ですべてを一度に電子化できない場合があります。
その場合は、
- 保管スペースを大きく占有している図面
- 頻繁に利用する図面
- 劣化が進んでいる図面
- 今後の改修工事で使用する図面
- 検索する機会が多い図面
などから優先的に電子化する方法があります。
まず一部を電子化して、保管スペースや検索時間がどの程度変わったのかを確認するのも一つの方法です。
電子化後の管理方法も考えておく
紙図面の保管コストを削減することを目的に電子化する場合、電子化後の管理方法も事前に決めておく必要があります。
例えば、
- ファイル名のルール
- フォルダ構成
- 図面番号
- 作成年月
- 改訂番号
- 保存場所
- バックアップ方法
- アクセス権限
などです。
電子化したデータが整理されていなければ、今度は「データの中から図面を探す」という問題が発生します。
保管スペースを減らすだけでなく、必要な図面をすぐに取り出せる状態にすることが重要です。
まとめ
紙図面の保管コストを計算するときは、倉庫や書庫の賃料だけでなく、収納設備や担当者の管理工数、図面を探す時間まで含めて考えることがポイントです。
まずは、
- 図面が占有している保管スペース
- 年間の収納用品・設備費
- 図面の整理・管理時間
- 図面を探す時間
- その他の関連コスト
を洗い出してみましょう。
年間のコストが分かれば、電子化にかかる費用と比較し、「どの図面から電子化すれば効果が大きいか」も判断しやすくなります。
紙図面の電子化は、単に保管スペースを空けるだけではありません。検索や共有にかかる時間を減らし、図面管理そのものを効率化する機会にもなります。
図面電子化センターでは、A0・A1・A2などの大判図面をはじめ、青焼き・白焼き・マイラーなど、さまざまな図面の電子化に対応しています。保管コストの削減や検索性の向上など、電子化後の活用方法に合わせたプランをご提案いたします。
















