企業で長年保管されている図面には、「どこにあるのか分からない」「この図面のことは担当者しか分からない」といった問題が起こることがあります。
特に、図面の管理を特定の担当者に任せている場合、その担当者の退職や異動をきっかけに、必要な図面を探せなくなるケースがあります。
紙図面が大量に保管されている企業では、担当者の記憶や経験だけに頼らず、誰でも必要な図面を探せる仕組みを作ることが重要です。
その方法の一つが、図面の電子化と管理情報の整理です。

退職時に起こりやすい「図面の属人化」
図面の管理が属人化していると、次のような問題が起こります。
- 図面がどこに保管されているか分からない
- 必要な図面を探す方法が分からない
- 図面の番号や名称の意味が分からない
- 最新版がどれなのか判断できない
- 過去の図面について誰も詳しいことが分からない
- 紙図面と電子データの対応関係が分からない
「担当者に聞けば分かる」という状態は、担当者が在籍している間は問題にならないかもしれません。
しかし、退職や異動によって担当者がいなくなると、図面管理そのものが大きな課題になります。
まずは図面の棚卸しから始める
属人化を防ぐためには、まず現在どのような図面が存在するのかを整理します。
最初から1枚ずつ細かく確認する必要はありません。
まずは、
- どこに保管されているか
- どのくらいの量があるか
- どのような種類の図面か
- どの部署が利用しているか
- 現在も使用されている図面はどれか
などを把握します。
例えば「工場の図面室」「本社書庫」「倉庫A」のように保管場所を分け、それぞれの物量を一覧にしておくだけでも、全体像を把握しやすくなります。
図面番号や管理番号を整理する
図面を電子化するだけでは、属人化を完全に解消できるとは限りません。
電子化したPDFが大量に保存されていても、「どのファイルが何の図面なのか」が分からなければ、結局特定の担当者に頼ることになります。
そこで重要なのが、図面を識別するための情報を整理することです。
例えば、
- 図面番号
- 図面名称
- 建物・設備名
- 案件名
- 作成年月
- 改訂番号
- 図面の種類
などを管理情報として整理します。
こうした情報があれば、担当者の記憶に頼らず、必要な図面を探しやすくなります。
ファイル名を統一する
電子化した図面のファイル名にも一定のルールを設けておくと便利です。
例えば、
建物名_図面番号_図面名称_改訂番号.pdf
のように、社内で共通のルールを決めておきます。
重要なのは、担当者によってファイル名の付け方が変わらないことです。
「工場設備」「工場設備図」「工場_設備」など、同じ意味の名前が混在すると検索しにくくなります。
誰が見ても内容を判断できる命名ルールを作っておくことで、担当者が変わっても管理を続けやすくなります。
紙図面と電子データを対応させる
紙図面を電子化した場合は、原本と電子データの関係も分かるようにしておきましょう。
例えば、紙図面に図面番号が記載されていれば、その番号を電子データのファイル名や管理情報にも利用します。
そうすれば、
「このPDFは、書庫にあるどの図面なのか」
を確認しやすくなります。
原本を残す場合も、保管場所や箱番号などを管理しておけば、必要なときに紙の原本を探し出せます。
最新版を誰でも判断できるようにする
図面管理で特に注意したいのが、最新版が分からなくなる問題です。
同じ設備について複数の図面が存在する場合、担当者だけが「これが最新版」と把握していることがあります。
これを防ぐには、
- 改訂番号
- 改訂日
- 最新版の表示
- 旧版の保管場所
などをルール化します。
旧版を残す場合も、最新版と混ざらないように分けて管理することが重要です。
電子化した図面を共有する
図面を特定の担当者のパソコンだけに保存するのではなく、社内で適切に共有できる環境を整えることも属人化防止につながります。
例えば、社内サーバーや適切なクラウド環境などを利用し、必要な担当者が図面を参照できるようにします。
ただし、図面には建物や設備などの機密情報が含まれる場合もあるため、誰でも自由にアクセスできる状態にするのではなく、部署や役職などに応じてアクセス権限を設定することが大切です。
関連情報:紙図面を電子化して管理する方法
引き継ぎでは「図面」だけでなく「管理方法」も残す
退職者から図面を引き継ぐ際は、紙や電子データだけを受け取ればよいわけではありません。
「どこにあるのか」「どの番号で管理しているのか」「どれが最新版なのか」といった管理方法そのものを文書化することが重要です。
例えば、
- 図面の保管場所
- ファイル名のルール
- 図面番号のルール
- 最新版の判断方法
- 電子データの保存場所
- 更新・追加するときの手順
などをまとめておけば、担当者が変わっても同じ方法で管理できます。
電子化は「引き継げる図面管理」につながる
図面を電子化するメリットは、紙の保管スペースを減らすことだけではありません。
適切なファイル名や管理情報を設定して電子化すれば、担当者の頭の中にしかなかった図面情報を、組織として共有できる情報に変えることができます。
ただし、単純に紙図面をPDFにするだけでは、属人化が解消されない場合があります。
「誰が管理するのか」だけでなく、「誰が見ても探せるか」「最新版を判断できるか」という視点で電子化後の管理方法を決めることが重要です。
まとめ
退職者が長年管理してきた図面を引き継ぐ場合、単に紙図面を受け取るだけでは、担当者が持っていた知識まで引き継ぐことはできません。
属人化を防ぐためには、
- 図面を棚卸しする
- 図面番号や管理情報を整理する
- ファイル名を統一する
- 紙図面と電子データを対応させる
- 最新版を明確にする
- 適切な範囲で社内共有する
- 図面の管理方法そのものを文書化する
といった取り組みが重要です。
特に、担当者の退職や異動が予定されている場合は、引き継ぎをきっかけに図面管理を見直すことをおすすめします。
図面電子化センターでは、A0・A1・A2などの大判図面をはじめ、青焼き・白焼き・マイラーなど、さまざまな図面の電子化に対応しています。電子化後の検索・共有・管理方法も考慮しながら、用途に合わせたデータ化をご提案いたします。
















